FXに特定口座はある?株と同じつもりだとつまずく点|2026年9月版
結論:FXに特定口座はありません。特定口座は上場株式等のための制度で、国税庁のページでも扱いが別です。株や投資信託を「源泉徴収あり」で持っていると、口座側が納税まで済ませてくれる感覚が身につきます。FXにはその機能がないので、1年間の損益を自分で数えて申告するところまでが自分の仕事になります。
特定口座って、何をしてくれる口座なの?
損益の計算を証券会社が代わりに済ませてくれる口座です。国税庁タックスアンサーNo.1476は、特定口座内の上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額を、特定口座の外で譲渡した他の株式等の所得と区分して計算する、と説明しています。
そして大事なのが次の一文。この計算は金融商品取引業者等が行います。だから、送られてくる特定口座年間取引報告書を見れば、簡便に申告ができます。
さらに源泉徴収を選ぶと、その口座の譲渡による所得は申告不要にできます。源泉徴収ありを選んだ口座の呼び名が、同ページに出てくる源泉徴収口座。譲渡のたびに譲渡益へ15.315パーセント(他に住民税5パーセント)を掛けた金額が差し引かれるしくみです。
ここまでを1行でまとめると、こう。計算も納税も口座が持ってくれる、ということ。
FXにも特定口座はあるの?
ありません。No.1476が対象にしているのは上場株式等で、FXは対象に入っていません。
FXの課税関係をまとめているのはNo.1521という別のページです。そちらには、平成24年1月1日以後の差金等決済で生じた損益は「先物取引に係る雑所得等」として所得税15パーセント(他に地方税5パーセント)の申告分離課税になる、と書かれています。
読み比べて気づくのは、No.1521に特定口座にあたる仕組みの説明がないこと。源泉徴収を選ぶ話も、年間取引報告書だけで簡便に申告できるという話も出てきません。
つまりFXは、最初から「自分で申告する」前提で書かれた制度です。株から入った人ほど、ここでつまずきます。
1金融商品取引業者等につき1口座、という特定口座のルールも、FXには関係がない話。FX会社を何社使っていても、損益は自分で合算します。
15.315パーセントと15パーセント、2つの数字の正体
表記が違うだけで、考え方は同じです。No.1521は本体の税率を所得税15パーセント(他に地方税5パーセント)と書き、そのうえで注記を添えています。平成25年から令和19年までの各年分の確定申告では、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1パーセント)を併せて申告・納付する、という内容です。
いっぽうNo.1476の源泉徴収口座の説明では、はじめから15.315パーセントという数字。復興特別所得税を含んだあとの数字だから、こちらは細かい小数がつきます。
数字が2種類あるのは、どちらかが間違っているからではありません。含める前と含めたあとの違いです。
自分でやることは、この3つ
FX会社が出してくれる年間損益報告書を集めて、1年分を合算し、確定申告書に載せる。この流れです。順番に3つだけ。
- 年間の損益を確認します。多くのFX会社が、取引報告書や年間損益報告書をマイページからダウンロードできるようにしています。名前は会社ごとに違うので、まず自分の会社での呼び方を調べておくと迷いません。
- 複数の会社を使っているなら合算します。「先物取引に係る雑所得等」は他の所得と区分して計算する枠なので、その枠の中では通算できます。GMOクリック証券とSBI FXトレードを両方使っているなら、どちらの結果も同じ枠へ。
- 明細書を用意します。国税庁が用意している様式の名前は「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」。確定申告書等作成コーナーを使う場合は、画面の案内に沿って入力すれば必要な付表や明細書も自動で作られる、と案内されています。
損が出た年は、何もしなくていい?
むしろ、損が出た年ほど手続きの価値があるかも。No.1521は、他の「先物取引に係る雑所得等」との損益通算をしてもなお引ききれない損失について、一定の要件の下で翌年以後3年内の各年分から控除できると説明しています。
ただし注意もあります。この枠の外にある所得、たとえば給与所得との損益通算はできません。同ページにはっきり「『先物取引に係る雑所得等』以外の所得の金額との損益通算はできません」と書かれています。
くわしい手続きはコード1523「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」で案内されています。損が出た年に何もせずにいると、この繰越は使えません。
気をつけたい、対象外になるケース
申告分離課税にならないFX取引もあります。No.1521の注記が名指ししているのは2つ。
ひとつは、平成24年1月1日以後の店頭取引であっても、金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引に該当しない取引。もうひとつは、平成28年10月1日以後に行われる店頭デリバティブ取引のうち、金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る)または登録金融機関以外との取引です。
これらは総合課税の雑所得として、課税総所得金額に応じた超過累進税率で課税される、と書かれています。国内で登録を受けた会社を選ぶ理由は、税金の面にもある、ということ。無登録の相手に近づかないほうがいい話はSNSのFX勧誘と無登録業者の記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
FXに特定口座はありますか?
国税庁タックスアンサーNo.1476が説明する特定口座制度は、特定口座内の上場株式等の譲渡による所得を対象にした仕組みです。FXの課税関係をまとめたNo.1521には、特定口座にあたる制度の説明がありません。FXは申告分離課税として、自分で申告する前提の書き方になっています。
FXの税率は株と同じですか?
本体の税率はどちらも同じ考え方ですが、表記が違います。No.1521はFXの差益について所得税15パーセント(他に地方税5パーセント)と書き、令和19年分までは復興特別所得税を併せて申告・納付すると注記しています。いっぽうNo.1476の源泉徴収口座の説明で使われているのは、復興特別所得税を含んだ15.315パーセント(他に住民税5パーセント)という数字。
源泉徴収ありに変えられますか?
FXにはその選択肢がありません。源泉徴収ありは特定口座の機能で、No.1476によると、その年の最初の譲渡の時までに「特定口座源泉徴収選択届出書」を提出して選ぶものです。しかも選択は年単位で、年の途中で源泉徴収をやめる変更はできないと書かれています。
損が出た年は何もしなくていいですか?
損が出た年こそ手続きの価値があります。No.1521は、他の「先物取引に係る雑所得等」と損益通算してもなお引ききれない損失について、一定の要件の下で翌年以後3年内の各年分から控除できると説明しています。この繰越にはコード1523で案内されている手続きが必要です。
- 国税庁 タックスアンサーNo.1476「特定口座制度」(令和7年4月1日現在法令等/2026年9月6日確認)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1521「外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」(令和7年4月1日現在法令等/2026年9月6日確認)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1523「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」(2026年9月6日確認)
※税制は改正される場合があります。申告の前に必ず国税庁の最新情報をご確認ください。
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最終更新日:2026年9月6日
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